reminiscence3『love』

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reminiscence3『love』

 ベンチでのひと時があってから、有は大学で亘の姿ばかりを探すようになっていた。まだこのときは、彼に対して恋愛感情を抱いているという自覚はなかった。初めて気を許せる友人ができた――そう思うと嬉しくて常にテンションは高くなり、いい意味で亘に対し遠慮がなくなった。彼と話したいと思えば自ら話しかけるし、学食に誘いたかったら誘う。友達なのだからそれは「していいこと」だと思えるようになった。すると、相手の態度も変わっていった。教室を移動するとき、亘から声をかけてくることが増え、隣に座って講義を受けることが多くなった。  真紀とは良い付き合いが続いていたが、キャンパス内では別行動をするようになった。彼女は彼女で、友達同士の付き合いがあるようだったし、お互い何の不満もない。大学の授業が終わったあと真紀が有の家に寄っていたし、休日は外でデートをすることもあった。だが、真紀との別れはある日突然やってきた。     
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