reminiscence3『love』

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 有は頭を振って、浮かび上がった可能性を打ち消した。暇だから、広い家に一人っきりだから寂しいだけだ。単発のバイトでも探すか――そんなことを考えていたとき、亘からLINEでメッセージが届いた。 『夏堀さんと別れたんだって?』  もう知られていた。恐らく、真紀から怜美を経由して亘に伝わったのだろう。 『別れたよ』 『じゃあお互いフリーだな』  その吹き出しを見て、有は目を擦った。信じられなかった。一週間前、あんなに仲良く歩いていたのに。 『彼女と別れたの?』 『別れた。性格が合わなくて。で、急なんだけど、二泊三日ぐらいでゼミの合宿やろうと思うんだけど』  有は思わず、「やった!」と声を出していた。ベッドの上を飛び跳ねていた。  ――石動に会える。  さすがに自分の気持ちがおかしいことに気が付いた。友達と会えるだけでこんなに嬉しいなんて、どうかしている。花火大会の日に、真紀が言っていた言葉一つひとつを精査して、有はひとつの結論を導き出し、受け入れた。  ――俺は石動のことが好きだ。  認めたら楽になった。もういちいち、自分に言い訳をしなくて済む。好きでいるぐらいなら許されると思った。告白なんて絶対にしない。決してこの気持ちを表には出さないようにする。  真紀に電話をかけ、今までの受動的な態度を詫びた。そして頼んだ。「俺の気持ちを石動には絶対に言わないで」と。 
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