an aunt

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 有は何気ない風を装い、今いるリビングルームをさっと見渡した。棚の多い部屋だった。料理本が並んだ本棚、分厚いアルバムが無造作に積まれた棚。日用品が無秩序に押し込められたカラーボックス。見たところ、ブランドバッグや宝飾品はないようだ。  有はほっとしながらも、完全に白とは言い切れない、と自分に言い聞かせた。押し入れにでも隠しているのかもしれない。すでに質屋に流した可能性だってある。 「ばあちゃんの調子はどうですか」  とりあえず、祖母の話題を振ってみる。伯母が電話してくるときは、ほぼ祖母の話題だった。  「――ああ、おばあちゃんね。二か月前から病院に入院してるのよ。自力で歩けるようにリハビリを受けてるの」 「あ、そうなんですか」  初めて聞く話だった。 「でね、私も話したい事があったのよ、有ちゃんに」  伯母の様子が急にそわそわし始めた。 「毎月の仕送り、もう少し増やしてもらえないかしら。おばあちゃんの医療費がけっこうかかるのよ。保険がきかない分が高くてね。ベッド代の差額とかね」 「いくら増やせばいいですか」  すでに毎月八万円、伯母の銀行口座に送金しているのだ。けっこう大きい額だと有は感じている。  祖母の在宅介護をしていて自分は働けない、祖母の年金だけじゃ生活が苦しい、と伯母が言い出したのは、有が大学に入ったころだ。  有は両親が残した貯蓄を切り崩して、この四年強、伯母に送金を続けていた。 「そうね……あと二万円ぐらい」     
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