Doubts beget doubts.

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――石動さんのこと興信所を使って少し調べさせてもらったのよ。彼のご実家、兄弟が多くて生活が大変みたいね。大学も奨学金で通ってたんでしょう?  遠まわしでいやらしい言い方に、有の苛立ちはピークに達した。 ――だから何なんですか。勝手に他人の部屋に入るあなたに言われたくないですよ。  怒りに任せて啖呵を切り、伯母の部屋を飛び出した。  ――なのに自分がした行動は。  亘のことを信じ切れていない自分がいる。  ――もっと信じてほしいから。有に。  二日前に言われたばかりの、まだ新鮮な科白が耳に残っている。 「信じてるよ。だから一緒に暮らしてる」  ――何のために一緒に暮らしてるんだ? セックスもしないで。  亘がここに住むメリットは何だろうと考える。家賃が三万円と格安で、会社も近くて通勤が楽。浮いたお金はきっと実家に仕送りしている。家族思いの良い奴なのだ。 「あーダメだ。考えが」  まとまらない。混乱している。  引き出しに施錠したあと、鍵を財布に戻した。そのとき、以前しまい込んだレシートが目に飛び込んでくる。  「ホテルいちごみるく」のレシートに刻印された日付は、今年の三月十五日。入室時刻は二十二時十五分。部屋番号は二〇二。金額は宿泊料金で七八〇〇円。  やっぱりおかしいと思う。有と付き合う三日前に違う誰かとラブホに行っていることが。     
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