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「そうだよ。おまえの部屋に泊った。朝、有の伯母さんに会った」
「あ――」
伯母と亘の話が一致している。
「なんで言ってくれなかったんだよ、伯母と会ったことを」
「有の記憶に合わせたんだ。八月に俺としたことを有は忘れてたから」
「だからっ、忘れてるってことも含めてなんで教えてくれないんだよっ」
今日ここで話さなければ、これから先も亘は言ってくれなかっただろう。こんなに大事なことを。
「教えたことはある。一回目のセックスをした次の日だ。有が俺のことを苗字で呼ぶからさ、もう亘って呼べよって言ったんだ。そしたらおまえ、意味がわからないって顔をしてるから変だと思った。よくよく話を聞いてみると、有は俺とセックスしたことも、そうなった経緯も忘れてた」
亘の口からは、有が想像できなかったことの数々が流れ出てくる。すぐには理解ができなかった。
「だから話した。ふたりで飲みに行ったあとホテルに行ってセックスしたって。そのときにお互いの気持ちを確認して、付き合うことになったってことも」
「それで、俺は」
「半信半疑って顔してたけど、最終的には納得したよ。体に違和感があったからだろうな。お互い男とするのは初めてだったし――入れたときは有も辛そうだったし」
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