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「……俊、どうした?」
涙目になっている俊を見て、桐谷が困惑したような表情をしている。
俊は彼に縋りつく腕に力を込めた。
「先輩……、僕だけを見てください。他の誰かのこと思い出したり、考えたりしちゃ嫌です……」
「俊……」
桐谷は少し驚いたように切れ長の瞳を見開いていたが、やがてゆっくりと破顔した。
「バカだな……、オレはこんなにも、おまえを、おまえだけを愛してるんだ。他の誰も入り込む隙間なんかないよ……」
「先輩……」
俊の瞳から涙が零れる。
「泣き虫だな、俊は。中学の頃からまったく変わらない」
俊の目元にキスを落とし、桐谷が小さく笑う。
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