彼の行方

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 桐谷の突然の問いかけに、秋川は一瞬きょとんとしてから、大きくうなずいた。 「勿論。一般市民が銃殺されるなんて事件が、この平和な町で起きたんだからな。当時はオレたちも不眠不休で捜査したよ。……結局、犯人はまだ見つかっていないがね」   くやしさを滲ませる。 「一人生き残った少年のことなんですが」 「ああ。当時中学三年生だった安西俊くんのことか……」  そう言ってなぜか秋川は表情を曇らせた。 「秋川さん?」 「うん。その生き残った俊くんなんだが、ここ数年、うちの署では注意人物のリストにあげられていてね」 「……どういうことですか?」  俊が、注意人物?  恵介は戸惑いを覚えた。
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