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反発
「オオサキと同じこと言うなよっ!」
俊は思わず激昂した。
桐谷に対してこんな乱暴な口のきき方をしたのは初めてだった。
……でも、本当は分かっていた。オオサキと彼は全く違う。桐谷は俊のことを心から心配して言ってくれているのだ。
十三年間、俊が苦しんできたことも、きっと桐谷なりに理解してくれている。
彼の優しさが、俊のことを思ってくれる気持ちが、痛いほどに伝わってきた。
だから桐谷に対し、声を荒らげ乱暴な言葉を吐くのは、筋違いだと分かっていながらも……止まらなかった。
「オレは自分が死ぬことになっても、奴らを殺してやるんだ……!!」
俊の自暴自棄ともとれる言葉に、桐谷はたとえようもない悲しい顔をしたが、次の瞬間には切れ長の瞳で鋭く俊を射抜いた。
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