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大人のキス
目の前でひどく狼狽えている俊を見つめながら、桐谷は祈るような気持ちでいた。
中学生の頃の淡い恋、離れていてもずっと忘れられなかったかわいい後輩、長い時間を経て再会できた今、彼への恋心はより確かに、激しさを増して……。
「おまえが好きだ、俊」
今一度、自分の思いを彼に伝える。
俊がアンダーグラウンドの世界へ足を踏み入れることなど、絶対に許すことはできない。
復讐のために人生を捧げるなんて、悲しすぎる生き方なんてやめて欲しかった。
「せんぱ――」
俊がなにかを言いかけたが、それを遮るように桐谷は立ち上がると、彼の細い腕をつかんだ。
強引に引き寄せて俊の華奢な体を抱きしめる。
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