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「新弥刀町の繁華街に岬(みさき)っていう喫茶店があるんだけどね。警察の元幹部が経営している。オオサキっていう七十近い男性なんだが。……そこは表向きは喫茶店なんだけど、本当のところはいろいろな情報を売っている場所らしい」
「情報、ですか?」
「ああ。警察の捜査のやり方、法の抜け道、企業の秘密情報、個人情報。そういった犯罪者にとってはありがたいものを提供しては大金を得ているわけだ」
秋川が苦虫を噛み潰したような顔で言う。
「限りなく怪しいんだが、決定的な証拠がなくて手が出せないんだ。もう引退しているとはいえ、警察組織で幹部まで行っただけあって、一筋縄ではいかないしな。……その岬に俊くんが出入りしているのが何回も目撃されてるんだ。まあ純粋に喫茶店として通っている可能性もあるわけだけど」
「……秋川さんはそうは思っていないんですね?」
「ああ。オレは、俊くんは家族を殺した犯人を突き止めるため、岬へ通っているんだと思う」
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