雨のち晴れ

4/6
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
「……昼間」 「うん?」 袖を掴みながらポツリとつぶやくと、話そうとしてるのがわかったのか、真面目な顔になった。 「香水の匂いした」 「…香水?」 「昨日着てたジャケットから」 「あぁ、昨日は姉貴もいたからだと思う」 姉貴??…って事は 「じゃあ、腕組んでた人は…?」 脳裏にちらつく長い黒髪。 ライトブルーのシャンパンドレス。 赤い…唇。 「?昨日?夜?」 「うん…」 「それ姉貴」 あの女の人が…? 「似てない…」 綺麗な黒髪だった。目の前のこの人は透き通るようなハニーブラウン。 毎日のように一緒にいて、地毛なのは確認済みである。 「姉貴は父さん似だからな。俺は母さん似だし」 「そう…なの?」 「帰ったら写真見せるよ」 首を傾げて見上げると、割と近くで苦笑いを浮かべていた。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!