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「……昼間」
「うん?」
袖を掴みながらポツリとつぶやくと、話そうとしてるのがわかったのか、真面目な顔になった。
「香水の匂いした」
「…香水?」
「昨日着てたジャケットから」
「あぁ、昨日は姉貴もいたからだと思う」
姉貴??…って事は
「じゃあ、腕組んでた人は…?」
脳裏にちらつく長い黒髪。
ライトブルーのシャンパンドレス。
赤い…唇。
「?昨日?夜?」
「うん…」
「それ姉貴」
あの女の人が…?
「似てない…」
綺麗な黒髪だった。目の前のこの人は透き通るようなハニーブラウン。
毎日のように一緒にいて、地毛なのは確認済みである。
「姉貴は父さん似だからな。俺は母さん似だし」
「そう…なの?」
「帰ったら写真見せるよ」
首を傾げて見上げると、割と近くで苦笑いを浮かべていた。
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