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「ただいまー」
「……ただいま」
昼間、勝手に嫉妬して、怒って、あまつさえ泣いて飛び出た家に帰ってきた。
帰ってきてしまった…。
帰り道。
自身も気にしたのだろうか、携帯に入っていたお姉さんの写真(と言うか家族写真?)を見せてくれた。
そこには今よりも10歳くらい若い彼と、同じ色をした穏やかそうな女の人。黒髪のダンディーな男の人と、これまた同じ色の美人なお姉さんがいて。
ちょっと若いけど、自分が誤解してしまったお姉さんと同一人物だと認識した。
「おかえり。冷えちゃったでしょ?お風呂沸かしてあるから入ってきな」
「…ん」
「着替えは持ってってあげるから、ちゃんと浸かる事」
「うん…」
至れり尽くせり…っ!
大きめのタオルにくるまれながらそう言われて、心の中で打ちひしがれる。
私の誤解からの嫉妬を、彼は笑って許してくれたけれど。
居たたまれなくて顔も見れやしない。
それでも
泣きそうになる程の優しさで、1時間程前までの鬱屈とした気持ちはなくなっていた。
「アルバム出しておくよ」
「うん!」
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