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朝の冷たい空気の中、足元の少し残った雪を見ながらもくもくと歩いた。
息をするたびに鼻の奥がツーンとするから、鼻で息をするのをやめた。
口で呼吸すると少し息が上がった。
私、冬の思い通りになってるな・・・
ふと、顔をあげる。
マフラーをしてるあの子も、氷で滑って転んだ男の子も、
除雪した雪で見えなくなってた側溝にまんまとハマったサラリーマンも、
風邪をひいて辛そうなクラスメイトも、いつもより早歩きのワンちゃんも、
みんな、みんな冬に動かされてる。
『これに気付いてるのは私だけだろうか・・』
くだらない、早く行こう・・・。
学校へ向かう足を早めた。
長田 千紘
18才
大学受験は、早々にリタイア。
高校を卒業したらデザイナーになる、と決めて専門学校進学を決めた。
顔は中の上、だと自分では思う。
友達も多い方だし、クラスの流れにはなんとなく乗っていた。
運動も多分真剣にやればそこそこの成績は残せてたぐらいのセンスはある。
普通に生きてきて、普通に学生をやって・・普通に恋をした。
このまま変わらないはずだった。
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