WE ARE HERO

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WE ARE HERO

「喜べお前ら! 今日は特別な日だぞー! 新しくて素ん晴らしいアイテムを開発したんだ!」  5人を空き教室に呼び出した先生はそう言った。  子供のように得意げな笑みを浮かべ、えっへんと胸を張る。  しかし、そんな先生とは裏腹に、なんだそんなこと、と5人はつまらなそうにため息を吐いた。 「先生……知ってますかぁ? この世界は、ボク達のおかげで平和なんですよぅ。ね、ブルー先輩っ」 「そうだね、グリーン。奴ら……カースターも壊滅しました。もう戦いのアイテムを作る理由が見当たりません」  ブルーと呼ばれた青年が、可愛らしい素振りをする少年:グリーンに同調する。 「私たちの戦う理由もないわ。先生の暇つぶしに付き合う理由もね」 「ひどいなイエロー。そして、甘いなお前ら。あの戦いで、敵のボスには逃げられたままだろう?」  更に隣にいたイエローと呼ばれた彼女も、ふたりと同じく面倒くさそうに腕を組んだ。  ちなみに『先生』と呼ばれた男は、正確には教師ではない。教師のフリをして彼らの通う学校に潜入し、彼らを見守る監督のような存在だ。 『彼ら』というのが、この空き教室に集まった5人……その名も、 【青春戦隊 ガクエンジャー】  平和と笑顔を守る為に結成された特殊戦隊。つまり、彼らはこの世界のヒーローである。  いや、ヒーローであった、という方が正しい。  冒頭でグリーンやブルーが言っていたように、この世界の平和を乱していた【カースター】は、彼らの手により壊滅。  落ち着きのある、平凡な日常が戻ってきたのだった。 「て、敵のボスに、トドメはさせませんでしたが……た、たぶん、もう、この世界を乱すような事はしない。……と、思います」  【カースター】は壊滅したが、敵のボスを仕留めた証拠がない。それは紛れもない事実だが、最後の戦い以降、彼等が悪さをしたという通報もない。  だからもう大丈夫、なんて不確かなことを自信なさげに発言したのは、このチームのリーダー:レッドだ。 「なんでそう思う? レッド」 「え、いや、あの……えっと……なんでといわれても……」 「レッドぉ……お前はこのチームのリーダーだろう?もっとシャキッとしないか」 「う……ご、ごめんなさい……」  先生の指名によりリーダーに抜擢されたレッドだが、内気で引っ込み思案な性格は治らず、リーダーとしてみんなをまとめる事は最後までできなかった。  活動中は、『不要のヒーロー』と呼ばれたり批判の手紙が届いたり……散々な時期もあった。
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