6人が本棚に入れています
本棚に追加
悠斗「せ・・・先生・・・」
風吹「ゆ・・・いらっしゃいませ・・・」
まさかの出来事に動揺した。でもこんな落ちぶれた自分を見られたくない。
だから、他人になった。
悠斗「先生だろ! 」
風吹「そ・・・そういうプレーがお好みですか・・・」
悠斗「どうしてだよぉ 今頃、現れるんだぁ! 今頃、逢ってしまうんだぁ! 」
私は、苦痛する悠斗を見つめた。
悠斗「忘れようと思ったのに、もう先生のいない未来を作ろうと思ったのに・・・なぜぇ! 」
私は何も言えず、悠斗を見つめた。
悠斗「なぜぇいるんだよぉ! あの時、俺を捨てたくせに。勝手に自首していなくなって、相談もしないでさぁ。俺が子供だから、俺が幸せになる為。全然幸せじゃねーよぉ! 」
風吹「悠斗・・・・」
ここまで悠斗は1人で苦しんできたのかと思うと、胸が熱くなった。もちろん苦しむとは思った。私しかいないとも分かった。でもそれを乗り越えた先に幸せがあると思ったから。犯罪者じゃあー、人殺しじゃあー、幸せになれないから。今の私のように。
風吹「でもそれでよかったって私は思ったの。あなたといると、きっと不幸になるし、苦しくなっていくんだよ」
悠斗「苦しいよ。苦しくなるよ! 幸せな未来を作るには! 1+1=2でも苦しんだから、1+1=3だったら、もっと苦しいし、不幸の確率の方が大きいよぉ! 」
風吹「そうよ、私はあなたと逢って、1+1=3を目指した。でもそれはやっぱりないの。ありえないの! だからあなたと私の未来は血に染まって行く」
悠斗「血に染まるよ。ありえないよ。そんな未達の地を目指すんだろう。それが、1+1=3の世界なんだよ! 確かに、先生のいない世界は白い世界だった。先生といる世界は赤い世界だった。たとえそれが血の色だとしても、そこは色のある明るい世界なんだぁ! 」
風吹「悠斗・・・・私も・・・」
最初のコメントを投稿しよう!