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会社を出ると、雪が降り積もっていた。
雪がハラハラ舞う中、駅から自宅までの道のりを滑らないよう、慎重に歩く。
いつもなら10分くらいで着くけど、今日は20分はかかるなぁ・・・。
そんなことを思って歩いてると、子供の声がふと耳に入ってきた。
周りをみると、空地で2人の子供が、大きな雪だるまの周りをはしゃぎながら、飛び跳ねている。
親らしき人物は見当たらず、子供らだけが、遊んでいるようだった。
おいおい、今は夜の11時だぞ。子供だけで遊ばせるなんて、親はなに考えてんだ。
私は子供達に近づいて言った。
「ね、君たち、お父さんやお母さんは?」
2人の子供はピタリと飛び跳ねるのを止めた。
幼稚園ぐらいだろうか。二人共ダウンジャケットのフードを目深にかぶり、顔は見えなかった。
目の前の雪だるまを見て何か変だと気が付いた。
固められた雪の下に赤い色が透けてみえる。
「?」
雪の降り方が強まる中、もっとよく見ようと、雪だるまに接近し、頭の部分を見て、悲鳴を上げた。
雪だるまの、目のところが人間の眼球だったのだ。しかも、黒目が動いている。
子供の一人が顔をあげた。
「お前も仲間に入る?」
その子の顔は瞼がなく、目玉がむき出しで、唇もなかった。
「うわあああ~!!!!」
私は凍った道を無我夢中で走り、やっとの思いで家にたどり着いた。
震える声で妻にさっきの事を話すと、コーヒーを淹れながら彼女は笑った。
「なんだよ笑うなんて。そりゃ信じられないだろうけど・・・。」
「ふふふ・・・・。その子供達、あなたに憑いてきてるわよ。」
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