0人が本棚に入れています
本棚に追加
俺の名前は如月 九雨。(きらさぎ くう)
そして彼女の名前は弥生 吉羅。 (やよい きら)
俺達は普通の高校生だ。そしてごく普通のカップルである。
特別仲か良い訳では無いがお互いの事を理解し、何でも言い合える存在だ。
そんなある時俺達は二人でデートをしていると、突然吉羅が倒れたのだ。
俺は吉羅をすぐに病院へ連れて行き、なんとか一命を取り留めた。
少し落ち着いた時俺は医者に呼ばれ、とある一室に入った。
しばらく続いていた沈黙を医者が破る。
「・・・吉羅さんの事なのですが・・・」
「・・・」
俺は息を呑む。何となく言うことが分かったからだ。
聞きたくないと思っても医者は話し始める。
「・・・吉羅さんは不治の病にかかっています。長くても余命1ヶ月でしょう。」
・・・その瞬間俺の周りから音と色が消えた。
次第にそれは元通りになるが、今まで見ていたものには二度と戻らないだろうと思った。
「・・・吉羅が・・・吉羅が助かる道は・・・無いんですか・・・ッ!」
「・・・」
医者は俺の問には答えず黙って俯いた。
俺達はただ普通の、当たり前の日常を求めていた。それ以上の物は求めず、ただ、普通の生活を送りたかった。いや、送っていたのだ。
なのに、そんな日常はいとも簡単に崩れていく。
俺は絶望した。1ヶ月後にはきっと吉羅が隣に居てくれない。
吉羅が・・・何をしたって言うんだよ・・・
俺が・・・何を・・・
最初のコメントを投稿しよう!