彼女の命が残りわずかの時

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俺の名前は如月 九雨。(きらさぎ くう) そして彼女の名前は弥生 吉羅。 (やよい きら) 俺達は普通の高校生だ。そしてごく普通のカップルである。 特別仲か良い訳では無いがお互いの事を理解し、何でも言い合える存在だ。 そんなある時俺達は二人でデートをしていると、突然吉羅が倒れたのだ。 俺は吉羅をすぐに病院へ連れて行き、なんとか一命を取り留めた。 少し落ち着いた時俺は医者に呼ばれ、とある一室に入った。 しばらく続いていた沈黙を医者が破る。 「・・・吉羅さんの事なのですが・・・」 「・・・」 俺は息を呑む。何となく言うことが分かったからだ。 聞きたくないと思っても医者は話し始める。 「・・・吉羅さんは不治の病にかかっています。長くても余命1ヶ月でしょう。」 ・・・その瞬間俺の周りから音と色が消えた。 次第にそれは元通りになるが、今まで見ていたものには二度と戻らないだろうと思った。 「・・・吉羅が・・・吉羅が助かる道は・・・無いんですか・・・ッ!」 「・・・」 医者は俺の問には答えず黙って俯いた。 俺達はただ普通の、当たり前の日常を求めていた。それ以上の物は求めず、ただ、普通の生活を送りたかった。いや、送っていたのだ。 なのに、そんな日常はいとも簡単に崩れていく。 俺は絶望した。1ヶ月後にはきっと吉羅が隣に居てくれない。 吉羅が・・・何をしたって言うんだよ・・・ 俺が・・・何を・・・
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