彼女の命が残りわずかの時

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しばらく医者と今後の事について話をし、それが終わると俺は吉羅の居る病室へと戻った。 病室の前まで来た所で俺の体は止まった。 もし、吉羅が死んでしまったら俺はどうなるのだろう。 今まで吉羅と築いてきたものはどうなるのだろう。 考えれば考えるほどきりがない。 「き・・・ら・・・」 俺は震えた声でそういい病室のドアに手をかけた。 そこには、いつもと何ら変わらない吉羅がベットに座っていた。 「あ、九雨。・・・どしたの?すごい顔色悪いよ?大丈夫?」 「・・・」 俺は無言で吉羅のそばまで駆け寄り、吉羅の腕を強く握り引っ張りお姫様抱っこをした。 「えっ!?ちょっ、九雨!?何すんの!?」 「・・・今は黙って・・・黙って俺に連れ去られろ」 「・・・え?」 自分でも何を言っているのか分からない。だけど、この残り少ない時間を彼女と、吉羅と過ごしたい。ただそれだけしか考えていなかった。 この際何だっていい。誰になんと言われようが構わない。吉羅と過ごせるならそれでいい。この1ヶ月、吉羅の行きたい所に連れて行ってあげよう。 そして、また、いつも通りの日常を・・・ 吉羅は頬を染めてしばらく黙っていたが、やがて口を開けて俺にこう言った。
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