「たとえ、夢でも。」

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どういうことだ、やっぱり誰かと間違われているんじゃないだろうかと考えたその時。 「はぁーいっ!私、私!」 それまで黙っていた詩織が手を挙げて言った。 「し…詩織?」 「私が応募したの。インターネットコミックサイト、全部調べあげて。正登の漫画も全部スキャナーで読み込んで、テーマが合ってそうなコンテストに全部応募したっ!」 「ど……どうしてそんなこと」 「懸賞に応募してるみたいで、楽しかったよ」 そうなんだ、っておい!漫画コンテストを懸賞と一緒にするな。 「ということは……」 「そう、僕はコンテストに出された君の作品をみて、才能を見出したんだ。善は急げで連絡したら、彼女が対応してくれてね。それにしても本人が知らなかったとは」 「き…聞いてませんでした」 「面白いカップルだね」 「えっへへ~それ程でも!」 詩織、それは褒められているわけじゃないぞ。俺は心の中で突っ込む。 「……話は戻るけど。君の作品は、漫画に対する情熱と愛情がとても伝わってくる。ストーリーもいいね、『少年に夢と感動を』という、うちのテーマにも合っている」 「あ…りがとうございます」 「そこで、どうかな小田切さん。Triumphで、作品を連載で出してみないか。もちろんプロとして」 「えっ?」 「漫画家になるのが、夢なんだろう?」     
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