9人が本棚に入れています
本棚に追加
うわあああ!
俺は脳内で悲鳴を上げた。
嫌だ、そんなの絶対嫌だ。
俺はもう詩織なしでは生きられないのだ。
……けれど。
よく考えれば、それも必然なのかもしれない。
こんな漫画オタクと付き合っていたって、詩織にはなんのメリットもないだろう。
そもそも詩織がなぜ俺と付き合うなどと言い出したのか、俺は知らない。
何度か理由を訊ねたが、詩織は「えっ?それってそんなに重要?」と笑ってはぐらかすのだ。極めて重要だよ!と思うが、あまりしつこくても嫌われると思い訊くのを諦めた。
2年半前までの俺は、彼女をつくるのが夢だった。
憧れの、二次元ではなく三次元の、俺だけの彼女。18年間ずっと恋い焦がれ、待ち続けた俺の前に、彗星のように突然現れたのが詩織だった。
……でもやっぱり、夢は夢。いつか覚めるのが関の山だ。
付き合って2年半。
いい加減呆れて目が覚めたか、他に好きな男でもできたか。
いずれにせよ、詩織の言うとおり今日は特別な日になるだろう。
俺はこれから、フラレるんだから。
最初のコメントを投稿しよう!