第三章〔異世界の住人〕

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「私にもわからないの。タロンを探して歩いていたら、岩山に洞窟があって、もしかしたらこの中に隠れているんじゃないかって、入って行ったらいつの間にか、ここに居たの。そしてある建物から、「ターダのタロン」って声が聞こえて、行ってみると、タロンがみんなから「ターダのタロン」って呼ばれていて、「見つけた!絶対この人だ!」って思ったの。」 やはり間違いなく、ミウは異世界からやって来たのだ。もはや疑う余地もない。 まあ、ヤモリから女のコに変身した時点で、この世の物ではないと確信していたが。 僕は、早くその異世界に行ってみたいという衝動にかられていた。 「よし、僕も早くミウの世界が見たくなったよ。行こう!ミウ、君の世界へ!」 僕は、「よし、決まった!」と思いながら席を立った。しかし、ミウは席を立たず、上目使いで僕を見ながら、ハンバーガーを包んでいた紙を見せた。 「まだ欲しいの?」 僕が訪ねると、小さくうなずいた。やっぱり可愛い… 「じゃあ、お昼ご飯用に持って行こう。」 僕はハンバーガーを2つテイクアウトにし、ミウに渡した。 するとミウはハンバーガーを小脇にかかえ、学校の近くまで行き、見たことない路地に入って行った。 「こんな所に路地なんてあったっけ?」 そこは僕が、毎日学校に行くときに通ってる道だったが、初めて見る道だった。 不思議に思いながらも、僕はミウの後ろについて行った。 気が付くと、薄暗かった路地が白くなり、眩しい光に包まれていた。 そして、ミウの姿が見えなくなった瞬間、目の前に見たこともない広大な景色が広がっていた。     
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