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僕は、おじいさんに頭を下げ、荷台によじ登った。
荷台には、見たこともない野菜や果物が、所狭しと積んでいた。
ミウに話を聞くと、湖の外で取れた野菜や果物を街で売るため、買い付けに行っていたらしい。
すると、おじいさんは、リンゴのような果実を指差し、ミウに何か話している。するとミウが、
「おじいさんが食べてもいいって。」
そう言いながら、ミウはリンゴのような果実を手に取り、僕に渡してくれた。
僕がその果実を手にした瞬間、「バシュ!」
僕の手の中で破裂してしまった。
というより、僕が握り潰してしまったのだ。
おじいさんとミウは、ビックリしたが、僕が何度も何度も頭を下げると、手を横に振り、たぶん「いいから、いいから。」という意味の事を言ったのであろう、まったく何を言っているのかわからなかったが。
おじいさんから、もう1つリンゴのような果実を
受けとると、今度は水風船をつかむような感覚で握った。
そして、恐る恐る食べてみると、ちょっと拍子抜けをしてしまった。
リンゴそのものの味だったからだ。見たまんまのリンゴだった。
ただ、かなり柔らかい、例えるなら、柔らかいテニスボールをかじってるみたいだった。
すると、突然、おじいさんとミウの会話がわかるようになってきた。
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