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そればかりか、荷台に置いてある箱の文字まで読めるようになっていたのだ。
そういえば、さっきミウが、ハンバーガーを食べた時の事を思い出した。
「私たちは、その国の物を食べると、その国の言葉を喋れるようになるの。」
つまり、それは僕にも当てはまる事だったのだ、どうやら、この国の物を食べると、見たもの、聞いたものが、脳内で勝手に変換されて、理解出来たりする仕組みらしい。
会話も、日本語で喋っているつもりでも、相手には、この国の言葉に、この国の言葉は日本語に聞こえるのだ。
会話がわかるようになると余裕が出来たのか、僕は、荷台にある荷物を見始めた。野菜や果物だけでなく、日用品や米俵らしき物まで積んでいた。
馬車の荷物に揺られながら進んでいると、何本か小さな橋のような物を渡った。
しかし、川のような跡はあるが、水はまったく無かった。
すると突然馬車が止まり、おじいさんが振り向いた。
「嬢ちゃん方、これを口に着けなさい。」
そういってハンカチみたいな布を差し出した。
「ミウ?これは何?」
僕は小声でミウに聞いた。するとミウは、
「これから、あの赤い毒水の湖の近くを通るの、臭いだけでも危険だから、みんなここを通る時は口を塞ぐの。」
「臭いだけでも危険」という言葉に、僕は恐怖を感じた。
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