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「いいから、いいから、こっち、こっち。」
僕は、女の子に引かれるまま、町外れのさらに奥について行った。すると、
「ここ、ここ、あたしの家、ここなの。」
女の子が指差した先には「イブレドの宿」の看板が掲げられていた。
「宿?お嬢ちゃんの家、宿屋なんだ?
いいの?泊まっても?部屋は空いてるの?」
僕は嬉しさのあまり、一気に質問してしまった。
「いいから、いいから。」
僕は、女の子に押されるがまま、宿屋に入った。
すると、女の子が大きな声で、
「お父さん!お父さん!!お客さん連れて来たよ。お父さんってば!」
すると奥から、のっそりと男の人が出て来た。
「ほらほら、お父さん、お客さんだよ。」
「あ~、客だ~…?」
すると、その男性は僕を睨むと、
「あ~、金ならね~よ。何回来ても返せないもんは返せね~。」
どうやら、借金取りと間違えてるようだ。
「違うよ、お父さん!お客さんだよ!お客さん!」
「ん?客?こんなみすぼらしい宿に泊まるなんて奴はろくでもねえ奴だ。帰れ、帰れ。」
僕は、この宿を逃したら、野宿決定だったので、ダメもとでお願いしてみた。
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