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そのメッセージとは「私、ミウは今、タロウの家族と一緒に、幸せに暮らしてます。わがままを許してくれた、お父さん、お母さん、本当にありがとう。ラウクン王子、本当にお世話になりました。ナカリーやチェスハにも、私は幸せに暮らしていると伝えておいて下さい。」
という一文だった。
ラウクン王子は手紙を元のように折り畳み、机の引出しにしまうと、
「ところでタロウよ、せっかく来たんだ、ゆっくりして行ってくれ。
そうだ!歓迎会をやろう!スラインやエミナーも呼び寄せようではないか。」
「い、いやいや。ちょ、ちょっと待って下さい。
実は、すぐに帰らないといけないんですよ。行かないといけない所があって…」
実はこの時、僕は結構焦っていた。
この国に来てから、正確な時間はわからなかったが、たぶん2時間位は経っているはずだ。
僕の世界ではどのくらいの時間が経っているのかは、まったくわからなかったのだ。
王子は僕の焦りがわかったのか残念そうに、
「なんだ…そうなのか?そういえば、今日はキチンとした服装をしているな。タロウの国のパーティーにでも出るのか?」
「ははは、違います…そんな良いもんじゃないですよ。毎日学校に勉強をしに…
え~っと、お城で言うところの『訓練』かな?」
「ほう…タロウほどの強さでも毎日訓練か、私らも見習わないとな。
それでは、あまり引き留めておくのも申し訳ない。
でも、少しだけ待っててもらえるか?
イサーチェに手紙を書きたい。」
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