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「じゃあ、鍋に切った大根を入れてくれるかしら。もうお湯が沸いているはずだから。」
「わかりましたわ。母上様。これを鍋のお湯に…?お湯?
母上様?お鍋が置いてあるだけですが?
この黒い台の上に置いてある鍋でよろしいのかしら?」
「ええ、その中に入れてね。」
すると伊佐江は、母さんが火を着けるのを忘れていると思い、鍋を動かそうと触った。すると、
「うわっちっ!!熱っちい!!~あちちちちち~!!!」
その声に驚いた母さんは、
「伊佐江さん!伊佐江さん!大丈夫!?
ほら、ここで冷やして。」
と、母さんは伊佐江の手を取ると、蛇口から水を出して冷やした。
「でえ~!!水~!?水が出た~?!!」
いつもは井戸の水を汲んで来て、料理などに使う伊佐江にとっては、蛇口をひねるだけで、止めどなく溢れ出てくる水道の水は、信じられない物だった。
「んな!?なんで?どうして水がこんなに!?」
すると母さんは、落ち着いた様子で、
「伊佐江さん、この国ではね、川の水や湖の水をキレイにしてくれてる人達がいるの。それから、そのキレイになった水と家が『水道管』という道で繋がってるの。だから水を汲みに行かなくても、いつでも水が出てくるのよ。」
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