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第三章〔異世界の住人〕
玄関を出ると、僕は小走りに走った。
そして路地裏に入ると、辺りを見回し、人が居ないのを確認して、ミウを手の平に乗せた。
「ミウ、変身していいよ。」
するとミウは目を閉じ、淡い光を放ちながら、どんどん大きくなっていき、少女の姿になった。
「おっとっと…。」
ミウが、僕の手の上で変身したもんだから、お姫様抱っこのようにミウを抱えていた。
見た目よりは軽く感じた。しかも柔らかい…
女のコの体って、こんなに柔らかいものなのか。と、少し感動すら覚えた。そして、すぐ近くにあるミウの顔を見て、
「やっぱり可愛いなあ、それにいい香りもする。」
などと思いながら、ミウの顔を見つめていると、
「タロン?」
ミウが不思議そうに喋った。
僕は、ハッとし、静かにミウを地面に立たせた。そして鞄の中から、妹のサンダル出して、ミウに履かせた。少し大きいみたいだが、無いよりはいい。
「タロン。」「タロン。」
ミウは同じ言葉を繰り返していた。
やはり、少女の姿になっても、この言葉しか言えないみたいだ。
するとミウは、僕の袖を掴み、歩き始めた。
「やっぱり、何処かに連れて行きたいのか。」
少し歩くと、ミウの足がピタリと止まった。
「どうした?ミウ?」
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