第一章 サーカスが訪れる

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 サーカス一座のテントに戻り、その日の公演が終わった後。ブッシュはマリリアードに街で買ってきたネックレスを見せる。 「尻尾を掴んだぞ」  ブッシュから手渡されたネックレスを、マリリアードは厳しい目で見つめる。 「……これは確かに、弟の髪ですね。 まさかこの街に居たなんて、盲点でした」  額を押さえて頭を振るマリリアードに、ブッシュが言う。 「この街に居るにしても、どうやらこの街の人身売買組織で扱われていたみたいでな。まだこの街に居るのか売り飛ばされたのか。そこまではわからない」  その言葉に、マリリアードはネックレスを握って返す。 「居ても居なくても、手がかりには変わりありません。人身売買組織に乗り込みます」  険しい顔をしているマリリアードを、ブッシュが宥める。 「お前ひとりで乗り込むわけにも行かないだろう。どういう手立てを取ればいいか、ラビに相談しよう」 「……そうですね。 今日はもう遅い。食事をして寝た方が良さそうです」  マリリアードがこれからどうするのか。それを決めるのは夜が明けてからだ。
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