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サーカス一座のテントに戻り、その日の公演が終わった後。ブッシュはマリリアードに街で買ってきたネックレスを見せる。
「尻尾を掴んだぞ」
ブッシュから手渡されたネックレスを、マリリアードは厳しい目で見つめる。
「……これは確かに、弟の髪ですね。
まさかこの街に居たなんて、盲点でした」
額を押さえて頭を振るマリリアードに、ブッシュが言う。
「この街に居るにしても、どうやらこの街の人身売買組織で扱われていたみたいでな。まだこの街に居るのか売り飛ばされたのか。そこまではわからない」
その言葉に、マリリアードはネックレスを握って返す。
「居ても居なくても、手がかりには変わりありません。人身売買組織に乗り込みます」
険しい顔をしているマリリアードを、ブッシュが宥める。
「お前ひとりで乗り込むわけにも行かないだろう。どういう手立てを取ればいいか、ラビに相談しよう」
「……そうですね。
今日はもう遅い。食事をして寝た方が良さそうです」
マリリアードがこれからどうするのか。それを決めるのは夜が明けてからだ。
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