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4.正体
それから2週間ほどたった頃。
すっかりこの家に馴染んだ子うさぎは元気を取り戻したようで、大人しかった2、3日目の時とは違い、よく家の中を走り回ったり、おじさんと一緒に遊んだりするようになっていた。
子うさぎは幸せだった。大好きなおじさんと一緒にいられたから…。
__おじさん、大好き。
子うさぎは、テレビを見ているおじさんの膝へ、いつものようにスリスリとすり寄った。
「お、また来たな~? かわいいやつめ」
おじさんは楽しそうに笑って、ひょいっと子うさぎを抱き上げて膝の上に乗せた。
膝の上で、気持ちよさそうに伸びをする子うさぎ。
すると、
≪…続いて、天気予報です≫
テレビ番組が天気予報に切り替わる。気になった子うさぎもテレビの方を向く。
そこでは、流暢な声の女の人がステッキで地図を指さしながら説明をしていた。
高気圧とか前線とか、子うさぎには難しくてよくわからなかったけれど、女の人の最後の言葉だけは、嫌でもわかった。
≪……来週からは、また晴れが続く模様です≫
その瞬間、子うさぎはつきんっと胸が痛くなるのを感じる。
「そっか…。もうすぐ晴れるってさ」
良かったな。
おじさんはそう言って子うさぎを撫でてくれたけど、子うさぎの心は沈んでいた。
__お日様…出てきちゃった。
それは、もうすぐ林へ帰らなければいけないと、そういう事を意味していたから。
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