3.子うさぎの秘密

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本当は、おじさんが起きている間に、「ありがとう」と言いたかった。 でも、女の子は怖かったのだ。人間の姿になれるという、自分の正体を教えることが…。 他の自分と同じような動物の中には、人間として生きることを選んでこの町に住んでいるものもいる。しかし、誰もが正体を隠してだ。 __バレたら見せ物にされるだろう。 __いやいや、きっと八つ裂きにされて食べられてしまう。 林に住んでいた動物達が不吉な噂をしているところを、度々耳にしていた。 今のところ「そうなった」と言う話は聞いたことがなかったけれど、それでも不安は拭えない。 「おじさん、私のこと知ったら……」 きらいになっちゃうのかな? 言ってしまえば現実になりそうで……。 女の子は、言葉を唇にのせる代わりに、ぎゅっと服の胸元辺りを握りしめた。 気がつくと、雪がまた少し降り出している。 __雪が止むまでここにいなさい。 おじさんとは、もうしばらく一緒にいることになりそうだ。 「雪が、やむまで……なんだよね」 女の子は、ガラス越しに広がる真っ暗な空を見つめた。 その横顔は、どこか悲しそうだった。
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