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王が死に、責任を取ろうと姫は自身に刃を突き立てた。
腹を割いた。でも死ねない。
目を潰した。でも死ねない。
首を突いた。でも死ねない。
姫は刃を捨て、暴徒と化した民へ身を投げた。
火あぶり、石打ち、串刺し、斬首、暴行、水責め、あらゆる仕打ちを受けた。
でも、彼女は生きている。
民は恐怖した。何をしても甦る。これは姫ではない。化け物だと。
終わりのない少女を気味悪がり、やがて人々は去っていった。
ただ一人だけを除いて。
最後に残ったのは、よく知る人物。姫の身の回りの世話をしていた、少年だった。
彼は姫にこう言った。
──旅に出ましょう。そして、探しましょう。あなたの死ぬ方法を。
姫はすがるように彼の手を取り、少年は小さな掌を握り返した。
──あなたを殺すのは、僕です。
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