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世界王の姫君とは、古くからの言い伝えだ。
世界を平和に導いた王が、一人の姫君に狂い、世界中に不幸を撒き散らす、何とも冴えない話。
二百年前、ある若者が世界を滅ぼす魔獣を打ち倒す。
若者は英雄となり、全ての民から信頼され、人々の頂点に上り詰めた。
世界王の誕生である。
王には溺愛する姫がいた。
姫は病から床に伏してばかり。彼女を救いたいばかりに、王は禁忌に手を染めた。
捕らえた神を煎じて、姫に与えたのである。
あまりの冒涜に世界中が憤怒に包まれた。王は民の手により虐殺され、狂気は姫にも及んだ。
しかし姫は生き残った。
神の力で、不死となっていたのである。
神なき世界は混乱し、悲しみと争いが溢れた。
生き残った姫は今もどこかをさ迷っているという。
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