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「え? 地球人からのメール?」
二メートル近い巨体の鬼男酒呑童子モトハルは、ひと仕事終えた矢先に部下である小柄な鬼女茨木童子ナオミから一通の封筒を貰う。地球人から送られてきたメールをコピーしたものですと、四十センチ近い身長差のある部下から一言添えて渡された。
「地球人って……どこの国の鬼だったっけ?」
長い赤茶色の髪が特徴的なモトハルは、すっとぼけた訳ではなく本気でそう尋ねた。彼は地球人というものが、他の惑星に住む自分と同じ人型生物であることをとっくに忘れている。
彼が地球という惑星があることを初めて知ったのは小学生の頃だ。当時の授業科目である宇宙社会と天体の授業の時だけしか地球人という単語に触れたことはなく、時間にして十時間も学んでいない。そんな地球人のことなど、今年で九十歳を超える彼が覚えているわけがない。
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