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つい先月。他国にあるジッカイ・アチュダハ島に住む原住民族コンコンチキロールの起こした民族問題の解決にナオミが尽力していたこともあったせいか、地球人と聞き慣れない用語を聞いて、また民族問題絡みかと、勝手に解釈していたのはほんの数時間前のことだ。
「他の惑星か……」
嫌な予感がすると、モトハルは仕事が終わってホッとしていた顔に真剣さを取り戻す。以前に他の惑星の住民と接触したのは、二百年も前のことであるのを彼は記憶している。当時は我が米国で初の黒鬼大統領となった、バックラー・オドリャー氏が惑星『天国』の代表者と会談したという偉大な歴史を作った。
当時、この話題が世界中に響き渡っていたとき、モトハルはまだこの世に生を受けていない。学生時代になって授業を通して知ったわけだが、そういう歴史があったということを学んだだけであった。
そして大人になり、世界の代表者をバックアップするという今の仕事に就いて数十年が経過しているが、それでも昔授業で習ったこと以上のことを知ることはなかった。
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