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 側近の兵士(タカアキの左肩側に立つ男)がUSBメモリのようなスティックを取り出し、表面にあるスイッチを押すと、スティックの先から黄緑色に輝く長方形の枠が立体映像として浮かび上がる。続けて兵士が操作すると、枠の中に映像が映し出されるようになった。 「送信日時が一年も前のものになっています」  32インチサイズのモニター画面となった黄緑色の枠には、モトハルが読んだ地球人からのメール文が表示されている。 「随分と前に送信されたわけですが、それは地球人が打ち上げたこの小型郵便船に理由があります」  次に画面に表示されたのは、白い正方形の箱に、銀色の大きな蟹のハサミを付けた小型船だった。  ――か、かわいい。  そんな感想を抱いたナオミだったが、顔はいつも通りの無表情で通している。 「これがたった一通の手紙を運んできたことになります。ワープ機能も使わず、寄り道もせずに地球から地獄までの一方通行で一年もかけて運んできたわけです。この時点で地球人の築き上げてきた文明は、我々よりも大分古いということが伺えます」  次に表示されたのは、二人が見たこともない文字で表記された名前だった。横書きで縦に一列で順に並んでいる。32インチサイズでは当然全てが表示されないので、三倍ぐらいの大きさへと拡大された。 「これは?」 と、ナオミが尋ねる。 「この表にあるのは現在の地球人の主な軍事力です。これはミサイルの名前で、こっちは戦闘機の名前――」     
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