2人が本棚に入れています
本棚に追加
1章 饒舌なロボット
「ヤァ!キミハハジメテミルカオダネ!」
道を歩いていた僕に、いきなりカタコトで話しかけてきたのは、人ではなくロボットだった。周りには、他のロボットも、人間もいなくて、その1体だけが妙に際立っている。
長い間誰とも会話をしていなかったせいか、反応するのに少し遅れてしまった。
ここは街の大通り、ではなくそこから脇の道に入って少し行ったところの、俗にいう「裏路地」だ。風は比較的穏やかで、砂嵐は見受けられない。
特に目的をもって入った訳では無く、大通りを歩いていて、変わらない景色に飽きを感じ、新しい景色を求め入ってみただけだ。
意外に快適な環境で、良かった。ついでに、謎が解けるといいなという甘い希望を持っているんだけれど。
「なんで君は喋ることが出来るんだい?ほかのロボットをたくさんみてきたけど、喋っているロボットなんてみかけなかったよ?」
「ムカシ、ソウプログラムサレタンダ!ソレハソウト、キミハメガアルノカイ?」
唐突におかしなことを聞く。僕を見ればすぐに分かることじゃないか。
目の前のロボットには僕が見えないのだろうか?
最初のコメントを投稿しよう!