気がつけば100P目突入だったのねw

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*** ――心も身体も求めるのは君だけなんだ。君以外、誰もいらない――  そんな俺の気持ちとは裏腹に、千秋は眉根をぎゅっと寄せつつ拳を震わせながら俯く。 「穂高さん、お願いだからウソつかないで」 「ウソなんて言ってない。本当なんだ、信じてくれ!!」 「じゃあ誰なんだよ!? 背中に爪を立てて、たくさんのキズを作ったヤツはっ」 「な、に?」 (背中のキズ? そんなのがついていたのか!?)  愕然とした俺を義兄さんはくちびるを歪めて、黙ったまま見つめ続ける。 「ちょっと前に部屋に女の人がいたでしょ。その後、抱き合った時にキズがあるのに気がついたんだ」 「確かに。それは彼女がつけた爪痕だ。だが、やましいことは絶対にしていない。誤解なんだよ、千秋」 「誤解? どうやってその誤解を解消してくれるの?」  言った途端に、千秋の大きな瞳から涙が零れ落ちていった。 「だったら彼女に話を聞けばいい。あのとき何もなかったと教えてくれる」 (どうしてだろう、こんなにもすれ違ってしまうのは。君を想えば思うほど、つらいほどに切なくなっていくこの感情を、どうすればすべて伝えることができるんだ?) 「ふん。客からの証言なんてお前の味方をし、狂言になるのが目に浮かぶぞ。証拠にならんな」
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