気がつけば100P目突入だったのねw

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***  読めないアンディの気持ち、そしてあともう少しで店に到着しちゃうなと考えたとき、ぴたりと歩くのを止める。 「アンディ?」  つられてその場に立ち止まってやると、ポケットに入れていた手をぽいっと放り出されてしまった。まるで冷たくあしらわれたみたいで、内心キズついていたら、アンディが片膝をつき、その場にうずくまる。  これって――。 「ちょっと待て、お前っ! ここでアレをやるのは、絶対に人目につくから!」  授業中で誰もいない高校の階段の踊り場での告白劇を、まざまざと思い出してしまった。  白とエンジのミリタリージャケットを身にまとい、片膝を床について俺に向かって右手を差し出してきた、アンドリュー王子の姿を。  慌てふためく俺を尻目に、かけていたメガネをいそいそ外して、ポケットに入れてから、ゆっくりと顔を上げる。レンズ越しじゃない青い瞳が、逃げるなと言うように強い光を放っていた。 「うっ――」  歩道のど真ん中で始まってしまった俺たちの奇異な様子に、すれ違う人たちは避けながらもしっかりと目で追っているのに、アンディがまったく気にせず、そのままでいるものだから、しょうがなく話を聞くしかない。 「俺はな、和馬の傍にいると、いつも通りの俺でいられるのだ。飾ることなく素直で、ありのままの自分でいられる。素直すぎてお前に叱られることもあるが、それすらも嬉しくて堪らないのだ」 「そうか……」  何と答えていいのか分からず、相槌を打ちながら告げた適当な言葉に、ニッコリと微笑んだ。
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