気がつけば100P目突入だったのねw

33/37
前へ
/196ページ
次へ
 声を荒げる僕の顔をじっと見てから、消え入りそうな笑みを浮かべて、力なく首を横に振った。 「いいんですよ、安田課長は知る権利がある。俺の恋人だったんだから」  笹木はふっと視線を逸らし、安田課長のことを見る。 「抵抗する俺を尻目にワイシャツを引き裂き、あられもない姿にして、胸とかアソコとか感じる部分を念入りに弄られて……」 「ほぉ、イヤがるお前を無理矢理に」    告げられている卑猥な内容を耳にしても、ポーカーフェイスを崩さず、冷静に対処している安田課長の姿に呆然とするしかない。まるで、業務内容を聞いているときのようだ。 「口ではイヤがってました。でも嬉しかった……。香坂先輩が俺の感じる姿を見て悦んでいるのが。もっと悦んでほしくて、自ら腰を振ったんです」  言い切ってしまった笹木にうわぁと思い、顔を歪ませながら額に手を当てた。あまりにも雄弁に語るせいで、口を挟む気にもなれない。 「俺は、香坂先輩に憧れていました。ずっと好きだった……」 「なのに、私と付き合ったのか?」 「そうです。おふたりはどこか、似ているところがあったから」  僕と安田課長の、どこが似ているというんだ? 年齢だって性格だって、まったく違うだろうよ。 「おいおい、そんなイヤそうな顔をしてくれるな。お前と似ていると言われて、私は光栄なのに」 「別にそのことで、イヤそうにしているワケじゃないです。僕としては」 「波風を立てずに、穏便に俺たちを別れさせたかったんですよね?」  言葉をさらうように、笹木が口を出してきた。
/196ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加