気がつけば100P目突入だったのねw

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「香坂先輩がそこにメモを入れたのは、そういう理由があったからなんですよ。俺の気持ちを知ったから、安田課長と別れさせるべく浮気の証拠を作った」 (ちょっ、何を勝手に話を作っているんだコイツ――) 「そうなのか、香坂?」  ――違う。僕はこのふたりが揉めて、罵り合う姿を想像したかった……。  僕と同じようにボロボロになって、キズつくところが見たかっただけなのに。他の意味なんて、まったくない。  一瞬目を伏せて、次の言葉を考える。  今1番キズついているのは、目の前にいる安田課長だ。そんな人に、べたべたと塩を塗ったくったりしたら、間違いなくそれを倍増した状態でお返しをされるであろう。  それだけは、絶対に避けたい――。  意を決して伏せていた視線を上げ、当たり障りのないことを口にしようとしたら、いきなり笹木がテーブルの上に突っ伏した。 「ううっ、ひっ……」 「おい、笹木?」  この場に似つかわしくない様子に恐るおそる声をかけたら、半泣き顔を見せてくれる。 「ウゲッ」  その感じが、かなり前に釈明会見をした元議員にモロ被りしてしまい、固まるしかなかった。 「どるあぁあ……うっ、ひぃいいんっ!」 「おい笹木、みっともないぞ」  あまりの姿に安田課長が声をかけたが、呻き声をあげるばかりで会話にならない。
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