地震~電気のありがたみ~

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リゾットの他に炒め物を作り、夕食を終えていつまで発電機を使うか娘と検討会をはじめる。 大体3リットル弱しか入らない小型のため、2時間おきに確認に行き、ガソリンを足していた。 発電機を見に行った娘が興奮しながら外に出ろと言ってきたので、渋々靴を履いて見に行くと、夜空がすごいことになっていた。 新月だったこともあり月がなかったのも相まって、天の川にある小さな星まで見えていた。なんていうかプラネタリウム状態だった。 20年近く住んでいた場所で、道北にある田舎だから結構星が見えているよなと普段から思っていたのに、こうして町明かりがない状態で見るのは初めてだったこともあり、すげぇという言葉を連呼してしまった。まったく、語彙力がなさすぎ。 星を見ながらウロウロしていたら、近くの家でも発電機を使っているお宅があるらしく、独特な音がしていた。 静まり返る住宅街に響く音を聞きながら、21時には止めようと決めて自宅に帰る。 テレビで余震の情報を確認しながら、その時間を待っていたら、娘がカーテンの外を見た。何となく見ただけだったらしいそれが、電力の復旧を知ることになったのは奇跡的な偶然だった。 「街灯がついてる! 電気がきてるよ!」 国道を挟んで西側には電気が通っていることを、市役所関連に勤める娘の知り合いの先輩からの情報で知っていた。西側は通ったけど、他のところに電力を通すのは、今夜中には無理だろうということも分かっていたので、半ばあきらめていたところだったのもあり、喜びもひとしおだった。 この事情は、近くにダムがあるお蔭で復旧が早かったことを、後に知ることとなる。 上からの圧力で無理して働いてるのではないかと、電気を通してくれた職人の心配をしつつ、ブレーカーを上げて発電機で稼働していた電化製品の起動を試みた。 その後、他の電化製品も無事に起動したので、時刻の設定やら何やらで1時間ほどかかる。ボイラーの起動でストーブがついたのは想定外だった。いやはや驚いた、どうして暑いんだろうって(台風後の蒸し暑さだと思っていた) その間も余震が続いていたので完全に安心はできなかったけれど、日づけが変わる前にシャワーを浴びることができたのは嬉しかった。image=511441618.jpg
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