魔女との遭遇

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*** 『混合のワクチンをあと2回しなきゃならないので、暇を見つけて動物病院に行ってくださいね』  と購入したペットショップの店員さんに言われたので、病院に行く前の週に近所にある動物病院に電話をして予約をした。  裕次郎を飼っているときに何度も動物病院に行っている関係で、このシステムを知っていた。人間のように気軽においそれと行けないのがつらい( 一一)  ちなみに小春用に購入したキャリーケースは、柔らかい仕様にした。  裕次郎のときにプラスチック製品にしたせいで、中に入れるときにすっげぇ苦労したのだ。  まず部屋の中央にキャリーケースを置くなり、病院に行くことを察知して、狭いところに逃げ込まれる。その前に首根っこを素早く掴んでケースに入れるわけなんだが――四つ足を使って入り口付近に踏ん張って、絶対に入らないを全身でアピールしたのである。 「くそっ、こんにゃろ、入りやがれ!」 「にゃっふー! ぎょえー」  というやり取りがあり、手の空いてる家族(大抵妹だな)の助けを借りて、何とか中に押し込んだのであった。  普段、裕次郎の鳴き声を聞かないため、あまりの声の大きさにビビッて力が入らなかったのは、ここだけの話だったりする。  小さい動物や子供に対しての力加減って、本当に分からない(現在進行形)  そして予約した日に、時間に余裕をもって動物病院に徒歩にて足を運ぶべく準備にいそしんだ。  裕次郎のときに苦労した経験があったので身構えていたものの、こっちの熱意をスルーする感じでほいほい自分からケースに入っていく後姿に、ありがとうと呟いた。  -10度の極寒の中をてくてく歩き、7分後に到着した。予約した時間まで20分も余裕があったけど、思いきって扉を開けて中に入る。 「こにちはー」という変な日本語を口走ってしまったのは、目に留まった人物の姿に驚いたせい。image=509399652.jpg
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