魔女との遭遇

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 これと同じような体重計の上に薄い布が敷かれていて、その上でびちょちょちょ~と結構激しくお漏らしをした小春。 「すんませんっ、精密機械の上で何ということを!」  オーマイガーと頭を抱えた尚史を尻目に、出しきった快感を示しているのか、小春は体重計の上で前足をクロスさせて大人しく立っていた。  気を取り直して助手のおばちゃんがおしっこをふき取り、ふたたび計測したら1.5キロの重さがあった。  現在実家で飼っている雑種猫の杏(♂)が4.5キロと聞いていたので、小さいなぁとしみじみ思ったときだった。 「餌、どこのメーカーのものをあげてるの?」  傍にやってきた魔女に訊ねられたのだが、餌付けしているのが娘だったため、さーっぱりそんなもんは分からないぞとビビりながら「覚えていないっす」と素直に答えた。 「やっぱりね。このコ、どこで買ったの?」  小春を手早く触診しながら他にもいろいろ矢継ぎ早に質問され、その日一日のライフが瞬く間になくなっていった。 「何か聞きたいことある?」  と聞かれても頭の中が真っ白けで、何も浮かんできやしない!  しかも触診されている小春もビビっているのか、おしっこを少量チビっていた。もしかしたら飼い主の気持ちを悟って、代わりにチビっていたのかもしれない。  アホな飼い主とチビりまくりの子犬を診て、これからの注射やマダニ対策などの年間スケジュールを書きだし、ついでにこの餌は良さげだからと子犬用の餌と一緒に猫の餌までいただいた。  犬は選り好みせずに何でも食べるから、猫の餌でも平気で食べるそう。  全然関係ないけど、長男がはいはいし始めた頃、裕次郎の餌のカリカリを美味しそうに食べていた。しかも同じ姿勢で動く裕次郎を追いかけまわし、障子を破ってくぐったことは、今でも熱く語り継がれている思い出だったりする。  しっかり食べて運動にいそしんだお蔭で、長男の身長は現在175センチを超えている模様。どこまで大きくなるのやら( ゚Д゚)
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