長男、小春と初めて逢う

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 高校の卒業と同時に地方に働きに出て行った長男。相方も単身赴任なうなので、連絡は基本lineを使ってやり取りしていた。  滅多に帰ってこないその長男が、連休を使って帰省することを事前に知っていたため、小春を飼ったことをひた隠しにして驚かせようと計画していたのにだ。  家族間でのやり取りの最中に、変なタイミングで犬のスタンプを送ってくる相方のメッセージを、尚史と娘はハラハラしながらスルーした。  ちなみにそのときの小春から見た、家族の順位的な何かはコレ。  相方←どこをかじってもいいおもちゃ。悪いことをしても怒られない。叩かれても痛くない(傍から見ても撫でているようにしか見えない)甘やかしてくれるので大好き! 愛称はパパりん♪  尚史←散歩に連れて行ってくれたり、身の回りを綺麗にしてくれる便利屋もといメイド。顔は笑っているのに目が笑っていないため、ちょっと怖い。しかも常に敬語口調で話かけられるせいで、気が抜けない。不安なことがあったら、一番に駆け寄る相手。愛称はママりん♪  娘←松岡修造並みの熱血教育係。平日ご飯をくれる人。賢いわんこに育てようと大きな声で調教するだけじゃなく、熱が入りすぎて時折わけの分からない言葉を発する。遊び方が上手なので、とっても楽しい相手。愛称はねーちゃ♪  今のところ順位が低いのは相方なのは間違いない。家に連れ帰ってから、ずっとあちこちを好きなだけ噛ませた結果がこれである。  犬の順位づけについていろいろ調べてみたのだが、都市伝説的なものが含まれているらしく、しっかりと順位づけしているとは言えない部分もあるそう。  賢いがゆえにその人間を見極め、態度を変えているのは明らかなので、長男が帰省した際には小春に跨ってもらおうと娘と話し合った。  これ以上おもちゃを増やして甘やかしたら、躾の際に噛みついたり『パパりんのときはすぐにご飯をくれたのに、どうしてお座りと待てをしなきゃいけないの?』と吠えながら訴えてきたので(多分思いっきり文句らしきものを言ってたと思われる)甘やかさない何かをしてくれるポジションを与えようと計画した。
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