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その後、相方が抱っこしながら寿命など犬についての質問をして、店員さんと微笑ましい会話を繰り広げていた。
しゃがんだままでいた尚史と娘は、黙ってその会話を聞いていたのですが――。
『いやぁ、抱っこが上手ですねぇ。そのまま連れて帰ってもらいたいなぁ』
等々わんこの気持ちを代弁する店員さんに、まんまと乗せられていく相方。
「……買っちゃう?」
「「ええっ!?」」←娘と合唱
『本当ですか? 子犬も喜びますよ!』
「あ、こっ今夜家族会議で決めます」
暫し、妙な間が4人を包み込んだ――。
「よし、買おう」
頭の中で必死こいて電卓を叩いている最中になされた相方の一言に、娘と一緒に凍りついた。
言い出したら聞かないことは長年の付き合いで分かっているので、しょうがなく賛成したのだった。
その後、ケージなど必要な物品も一緒に購入し、犬の保険にも入ったりと諸手続きをしてから、子犬と一緒に店を出た。
車内での話題は雌犬の名前を何にするかで、娘と一緒にスマホで調べつくした結果、『小春』と命名が決まった。北海道の春はまだまだ先なのに、我が家に可愛い春がやって来たと思ったのは、この時点で間違いだったのである。
そう――子犬のお世話がこんなにも大変だなんて思ってもいなかったから!
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