娘、ケージを組み立てる

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 最初のうちは説明書を見ずに、黙々と作業をしていたのに、突然手が止まる娘。  コンセントの処理を終えて(爆弾処理を終えた自衛官とでも呼んでくれ)流れてもいない汗を拭いながら、娘の背中に声をかけた。 「何をしておるのだ、ちみは? 早く作ってやれよ」  言いながら手元を覗き込むと、難解そうな組み立ての部分が目に留まった。 「途中から作り方が分からなくなった。んもぅ適当に取説読んでやる」  適当じゃ組み立てられないだろ。とは思ったが、苛立っている娘に燃料を投下して組み立てたものを壊されたらたまったもんじゃないから、そのまま好きに組み立てさせた。  あえて手を出さないシステム。助けてくれとヘルプミーの声がかかったら、手伝うのが我が家のルールだったりする。  娘の背後で作りかけのケージを見つめて、心の中で応援をしている尚史の背後に相方はいた。  振り返れば奴がいる――そう、相方は延々と小春を相手に遊んでいたのである。この時は分からなかったのだが、後々これがアダとなることを相方は知らない。  あとからネットで調べて、これはいけないことなのだと分かった。
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