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その少年は、空を見上げていた。
いつからだろうか。
夜空には、満天の星空。
雲1つない。
少年には、それが堪らなく、不満だった。
雲1つ、ないなんて・・・
部屋の窓越しからでも、星が、きらめいているのがわかる。
だが、少年にとって、星のきらめきは、無駄の産物のように思えていた。
少年は、求めていないものに、主張されても困ると言わんばかりに、
これ以上ない冷たい視線を天空に送っていた。
そして、時は少しだけ過ぎ、
身にならない冬の星座鑑賞も、これまでか、とばかりに、
視線を下げかけた、まさにその瞬間、
少年の視線の先に、巨大な雲・・・
雲・・・じゃない・・・
突然現われた黒く、巨大な塊は、
ゆっくり消えていった。
雲・・じゃないのかよ・・・
少年にとっては、雲でないものなら、
他はどうでもいい存在だった。
それが、たとえ、超ど級の未確認飛行物体だったとしても。
少年は、無言でカーテンを閉めた。
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