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「うまみだと?」
『そうだよ、少年、いや、クキリ・ミチタカ君』
久桐道隆は、背を向けたまま、生きてきた14年分の同様をした。
名前を知っていたからではない。
宇宙人の提示してきた、うまみが気にかかったのだ。
「それは、願い、願望と、とらえていいのか?」
『イエ~ス、オフコ~スだよ、ミチタカ!願いを1つかなえるよ、
ワレの鋼の艦隊100隻でも、ワレの鋼の巨兵団を・・・』
「何でも、出来るんだな?」
道隆は、宇宙人の話の腰を折った。
『もちろん、ワレの星のテクノロは銀河随一だよ』
道隆は、勢いよく振り返ると、
「じゃ、じゃぁ、雪を降らせられるか?」
その表情は、先ほどのクールぶりとは打って変わり、
少年の生き生きとしたそれであった。
道隆の目の前には、顔のないボーリングのピンの様な
灰色でノイズまじりのホログラムがあった。
『もちろんだよ、ミチタカ』
「そ、そうか」
『そうだ、ミチタカ、ワレのナマエだが・・・』
「それは、いらない」
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