6/12
前へ
/19ページ
次へ
 「知り合いでもないのに、気持ち悪い事言うな!」  『知り合ったさ、マサに今、ナウに。』  道隆は、宇宙人の言動に、ため息をつきそうになり、  慌てて、なんとか押しとどめた。  自分が、ため息なんて無駄な感情を出してはいけないのだ。  道隆にとって、感情ほど非効率なものはないのだから。  『んじゃ、帰るよ、ミチタカ。』  「そうか」  『何それ~つれない返事じゃないか、ミチタカ?』  「いいから、さっさと帰れよ!」  『わかった、わかったよ、ミチタカ、ほんじゃ!』  宇宙人の言葉尻とともにホログラムは一瞬で消えた。  「なんだったんだ、あいつ」  道隆は、また、ため息をつきそうな自分を、  押しとどめた。  今日は、やけに感情が出やすいのか、  心がみだれているのだろうか。  自分が、感情に振り回されるなんて。  道隆は、軽く頭を振ると、窓をみた。  
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加