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 道隆は、少しばかり躊躇した後、ゆっくりカーテンをめくった。  目の前には、漆黒の闇がひろがっていた。  雪どころではない、闇しか見えない。  上を見上げても、星1つない、無限の闇が広がっていた。  あいつ・・・  と、口から言葉がもれそうな、  その時、  窓ガラスに、白い、小さな結晶が、ぱっと、はじけた。  また、1つ、また、1つ、また、また・・  本当に、しんしんと音が聞こえてきそうな程の、  雪が降ってきた。  待望の雪だ。切望していた、あの雪だ。  道隆は、言葉を言いかけて、やめた。  その表情は、笑顔から、険しくなり、  そして、窓ガラスにすがりつくように、  その場にひざまずいた。  道隆の脳裏の、もやもやとした不快感が、  記憶を呼び覚まし始めた。    2年前の記憶を  
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